告白を躊躇う女の子みたいにいつまでも頭に手を当てたままのソウル。もしかしてどっか壊れたのかと思うけど(私は時折武器は武器であってホモサピエンスの身体構造をしていないと妄想する時がある)、固まってるだけできっとうまい言い口でも考えているんだろう。いちいちうまいこと言わなきゃ気が済まないのかと腹が立つが、本人の好きでやっていることみたいだし、それを矯正する資格も私にはない。とりあえず、待ってやる。
「…………や、ああ、うーん、言いにくいんだけど」
ようやく口を開く。もう最初の「や」の時点でぶん殴りたくなるが、後ろにずりずり退却してリーチ外にソウルを出す。睨んで先を促した。ソウルは頭から手を離して続きをぼそぼそ喋る。
「…………マカと」
いちいち最初に間をためるな。
「手でも」
ぶつぶつ単語を区切るな。
「繋ぐか、と思って」
変なところで話を止めるな。
「………………」
て、おいおい。ソウルはまじで話を止めてしまう。私の突っ込みは全部口に出していないのに全て聞こえていたような停止っぷりだ。あとついでに言うとソウルの喋った言語の意味が分からない。意味の裏が分からないんじゃなくて本当に本気で真なる意味においてソウルのセリフが理解できない。本当に英語か?世界の裏側で話されてる言語じゃないのか?その地域では「マカトテヲツナグカトオモッテ」が「今日も随分暑いですね」みたいな意味になるとかそうなんじゃないのか?聞き取れない私は「は?」と声を漏らして、「はああ?」ともう一回理解不能を主張する。
「意味が分からない」
「意味が分からないってどういう意味だよ」
「あんたはジャングルの奥に住んでる部族の言語を覚えるのが趣味なの?」
「俺は今この国の共通語で綺麗に発音しました」
「ごめん聞き取れない。もっかい言って」
「手繋いでいいマカ?」
答える代わりに大股で近付いて思いっ切り頭をぶっ叩いた。ソウルは少し怯んで多少頭をそらしたが完璧に避けたことにはなっていない。むしろ避けたことで側頭部を狙った平手が頬と目の中間辺りにぶつかり、バチーンとそれは気持ちのいい音を立てた。私の心臓はバクバク物凄い勢いで高鳴っていてどうしようもない。別に可愛らしい意味のドキドキじゃなくて暴力を振るったことによる興奮の現れだ。今なら魂だって取れそうだ。それ以上自分が暴力の解放感に犯されるのが怖くて殴った手を体の横にまで引っ込める。代わりに口で文句を言おうとしたがパクパクなるだけで声が出ない。体の体勢を整えて深呼吸までしてようやく声が出る。怒りで我を忘れるとはこのことだ。こんなん久し振りだ。
「死ね!」





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