いつだったか、他人に「二人は付き合ってるんでしょ?」と、何故か確信を持った口調で聞かれて、思わずマカと揃って「付き合ってない」と叫んでしまったことがあった。周りにはどんびかれたが、それがその時の正しい気持ちだったのだ。謙遜しても恥ずかしがっていたのでもない。単純な事実を述べただけ。俺はそう思ってるし、マカだって似たような気持ちだろう、きっと。
それが。
「ソウル、あらかじめ聞いておきたいんだけど」
「おう、何でもどうぞ」
「やっぱりやめとかない?」
マカは眉間にシワを寄せながら呟いた。俺はうーんと悩んでみる。この悩みは今に始まったことじゃなくて、毎回毎回悩んでいることなのだが。
「…………でも、俺はさあ」
「うん、まあ、気持ちは分からないでもないけどさ」
「だったらいい、じゃん?」
マカはまだ思案中の顔である。そうか、そりゃあ悩むだろう、負担が大きいのはどう考えてもマカの方だからな。ついに腕組みをして唸り始める。
「友達同士でこんなことするのって、何かおかしくない?」
そうそう、そうだった。俺達はセックスをするという名目で集まったのだった。
場所の説明をしておこう。俺の部屋、正確に言えばベッドの上である。二人向き合うような格好で座っている。俺は普段着だが、マカは緩いパジャマである。何というか、今すぐにでも始められそうだし、別れて帰りそうな雰囲気もある。
マカはぶつぶつと続けた。
「やっぱおかしいよなあ……何やってるんだろうって気持ちになるよ」
「そうかな、俺はマカのこと好きだから別にいいんだけど」
「その好きは絶対違う好きだよ。他の好きな子見付けた方がいいよ。部屋に連れ込む時はあらかじめ言ってくれれば、消えるし」
「でもそれは俺が何か嫌だ」
「だって友達とエッチぃことするなんておかしくない?」
マカは強情である。今までこんなに我を通そうとしたことはなかったように思う。マカ自身も、俺がさっき思い出したようなことが蘇ってきて、付き合っていないとか、そういうことを意識してしまっているのだろうか。
俺は考える。マカの癖が移って唸り声を上げてしまう。
「じゃあ……じゃあさ、俺が嫌がるマカを無理矢理!みたいなそんなことにしていいから」
「えええ?ソウル頭悪すぎるよ」
「でもそうだったらマカは何も考えなくて済むじゃん」
「そんなもんかなあ」
「そんなもんだよ」
「つうか、そんなにやりたいの?やる気満々なの?ブレアじゃ駄目なの?」
「だから、俺はマカが」
あーあー、とマカは耳を塞いで俺の声を遮った。その先を聞きたくないらしい。マカは何故だろう、俺から特別扱いされるのを避けたがる節がある。いや、俺も、そうかもしれない。特別にはなりたくないような気がする。今の状態で十分満足しているから。
マカは耳から手を下ろし、びっと指を突き出した。
「気を遣うのは禁止。できれば名前も呼んで欲しくない」
「いつも通りで」
「そう、いつも通りで」
俺が頷くと、マカはようやく仏頂面から戻り、穏やかな表情になった。ふうと息をひとつ吐く。俺もふうと呼吸。そして何故か会話がなくなる。気まずくはないけど妙な沈黙だった。
「…………」
「…………」
「何で黙ってんのよ」
「いや、いつも通りってどんなんだったかと思って」
マカはまた顔をしかめた、が途端に目をそむける。非難しようとしたが、自分でもいつも通りが思い出せないのだろう。よくある話である。俺はおかしくなってつい笑ってしまう。即座に何笑ってんのと突っ込まれた。
「あー、いやー、じゃあとりあえずこっち来てよ」
「こっち?」
「こっち」
俺はほら、と腕を広げてみせた。いつも通りといえばそのまま、マカを抱き抱える格好である。マカは眉間にシワを寄せたまま、それでも腕の中に収まった。
「無理矢理設定なのに、後ろから抱えてるなんておかしくない?」
「無理矢理じゃなくなったんじゃねえの?」
「いつも通り」
「そうそう」
腕を回してみると、相変わらず細い体である。貧相というとマカはむくれるので声には出さない。心臓の音がてのひらから伝わってくる。戦闘前の高揚感と似たようなものを感じる。とくとくとく。そこまで早くはない、けど遅くもない。
「マカ、緊張してる?」
「ソウルの方が凄いじゃん。言ってあげようか、ドクドクドク」
「そんなわけねえだろ」
「鎌になってる時ですらこんなんじゃないんですけど」
マカはにや、と薄く笑った。余裕のある感じが腹立たしいので、ぶかぶかのパジャマの隙間から手を入れる。腹を触ったくらいじゃ、マカはくすぐったいとも言わない。上へと手を滑らせていく。
「うひゃっ」
全く可愛いくない悲鳴が聞こえる。俺は触った感触に違和感を覚える。いや、前回より大きくなったとかそういうわけじゃないが、そのまんま、何もないのだ。
「お前……ブラは?」
「………………」
「着けてないの?え、いつもしてないとか?そんなわけねえよな、確かに貧相」
最後まで言わない内に、腕の間からマカの手が伸びてきて、俺の顎にヒットした。そこまで威力はないけど、とりあえず謝っておく。
マカはかああっと(珍しく)顔を赤らめて、癖のブツブツを始めた。
「……たがら、ソウルがこの時間に用事かあるとかいうから……ちゃんと……その……気を遣ったんじゃない……」
「パンツは?」
「はいてます。セクハラ」
さすがマカである。感動した。かなり感動した。あれだけ文句たらたらだった癖に、結局は準備までしてくれているのだ。俺はマカくらいよくできた奴を他に知らない。本当にいい奴。
直接触れている小さい乳房から、マカの鼓動が、さっきよりもずっと早く大きくなって伝わってくる。何だか俺まで緊張する。
てのひらに収めてゆっくり揉むと、マカは何だかよく分からない声を出した。気持ちいいのか呼吸が変なのか聞き分けられない。
「うひゅっ、うう、あうう」
「なあ……もっとさあ……こうさあ……」
「うみゅっ、イイ声、出して欲しいならさ、ブレアを呼べ」
「いや、マカがいい」
「ソウルって変態だよね……」
「あ、思ったんだけど」
「うにゅっ」
「俺って今さ、ブラックスターとか、キッドの胸揉んでんのと同じことしてんだよな」
「……今言うなよ」
「それもそうですね」
マカは背中を曲げながら妙な声を出していたが、酷く低い声を上げた。リアルに想像してしまったんだろう。俺も一緒になって唸る。
「せめて椿ちゃんとかって言って欲しいよね」
「椿にはこんなことしないし」
「あううっ、じゃあ何で私にはすんの?差別だし」
「…………それは」
「うにゅるっ、まあいっか。ソウルだし」
マカは淡々と呟いている。マカが質問をやめてくれたので俺はほっとする。答え方が分からない。
気をそらそうと思って、抱えているマカの体を上から見下ろす。目が慣れてきたお陰で大分はっきりと見えた。色が白い、腰が細い、胸が小さい、でも触ると気持ちがいいのだ。俺は貧乳が好きっていうわけでもないのに、どうしてだかマカならいい気持ちになってしまう。
うひっ、うへっ、うみゅっ、というあえぎ声なんだか反射なんだか分からないものを聞きながら、俺はマカの首筋に顔を埋めた。右手を胸から離して、腹を伝って足の付け根まで伸ばしていく。ズボンの中に手を入れて下着越しに触れると、さすがにマカはビクンと背中をそらした。でも声は上げない。軽い我慢大会をしているような気分になる。
「……お人形遊びあるじゃん、たまにするあれ」
「………………」
「今凄いそれをしている気分なんですけど」
「………………」
「別に喋っちゃ駄目なんていうルールないよ?」
マカは黙りこくったままである。お人形遊びとは俺達がたまにする我慢大会みたいなもので、お互いの体を触り合って、逃げたり叫んだりするのは禁止という遊びなのだが、マカはそんなところでも優等生で、俺は今のところ負けっぱなしである。
我慢しなくてもいいのになあと思うが、そこはマカの好き好きである。俺は慣らすことに重点を置くことにして、上からなぞるのをやめ、下着の中に手を入れた。
「あふっ、ひゃんっ」
マカはさすがに声を出した。抵抗するように体を揺らす。俺は股の手だけじゃなくて、左手と顎まで使ってマカの体を押さえる。口が肩の付け根に触っていて痕が付きそうになった。痕跡を残すとマカは怒り狂うので、どうにか顎までずらしたのだ。
「ふあっ、うわっ、何だか、やだ」
「何が?」
「こういうのやだ」
「分かんない」
マカは腕を伸ばしてばたつかせている。暴れている。俺は笑ってしまいそうになるのだが、ただでさえ少ない雰囲気とかいうやつが完全に消えてしまいそうなので、耐えることにする。
指を割れ目に這わせて入り口をいじると、クチャクチャと水音がした。マカは俺より大きく聞こえているのか、更に顔を赤くしている。
「うあっ、もう、やだっ、死にたい」
「死ぬなよ」
「死にたい」
「死ぬなって」
水音は段々と汚い音になり、マカの呼吸が荒くなる。さっきまでのバタバタがなくなって、腕は力なくぶら下がっている。
「平気?」
「よ、ゆう、だし」
「マジで?」
「ソウルはどうなのよ」
不意にぎろっとした目で、マカは俺を睨んだ。顔は赤いけど、いつもの気の強さは健在である。
「私だけじゃしょうがないでしょ、その、やろうか?」
「あー……」
俺はマカの意図するところが分かって苦い声を出した。それはいかん。それは駄目だと思う。セックス自体は今回が初めてではないけど、くわえてもらったりしたことはないし、させたいと思ったこともない。いや、やってもらいたいけど、その相手をマカにしたくはないのだ。範囲を越えているような気がする。
俺は首を振った。
「いや、いいよ、何か違う気がするから」
「ほんとにいいの?」
「マカこそいいのかよ、経験ないだろ」
「そ、ソウルはやってもらったことあるの!?」
「答えたくありませーん」
「うっそだー!めっちゃ奥手の癖に!誰?誰と?」
「あーあーあー。聞ーこーえーまーせーん」
マカはすっかり元に戻ってしまって、顔の赤みまで消えていた。俺はどうしたもんかと苦笑したが、振り向いたままのマカに、何とまあ、肩からどつかれて後ろに倒されてしまう。
痛みは全くなかったけど、マカが俺の上にいるというマウントポジションである。俺は瞬間ボコられるんじゃないかとおののいたが、いくらなんでもそれはないだろう。
マカはふう、と息を吐いたあとに、急に顔を近付けた。緩い襟元から平らな胸が見えるが、本人に気にしている様子はない。
「よし、脱ぐんだソウル」
「ええ?寒いんですけど」
「うわあああ、つうかベルト着けてるんですけど、マジですか」
マカは嫌そうな顔をして見下ろす。俺が言い訳をする前に、シャツを下から掴んで容赦なくまくり上げた。おわわわわ、と俺は情けない悲鳴を上げる。その先を想像してしまう。嫌な想像をしてしまう!マカがベルトを外すカチャカチャという音が聞こえる。あああ、嫌だ、頼む、やるな、やってくれるな、なのに声が出ない、どうしてだ、止めなきゃいけないのに、止めなきゃ俺の中で何か変わってしまうのに!
「マカ、マカ、マカ!」
やっと声が出る。マカはぽかんとした顔で俺を見ている。俺はよっぽど怖い顔でもしていたのだろう、不安げな目をしている。
「駄目だ。駄目」
「……うん、分かった、けど」
「キスして。俺そんだけで十分気持ちいいから」
マカの腕を掴んで引き寄せる。軽い体はすぐに動いてこちらに近付く。腕を離すのと同時に、額から順に唇が降りてくる。すぐに口と合わさる。俺はマカの背中を抱く。背中越しにでも鼓動は伝わってくる。とくんとくんとくん。少し早い。気持ちのいいリズムだ。
舌が熱い。息が、まだうまくできない。さっきの嫌な想像がまだ消えてくれない。嫌だった、酷く嫌な光景を見るところだった。キスの先、胸をいじったりとか、抱き合うだけでは済まない何か。どうして俺はそこにこだわって、マカがこだわらないのか分からない。
何度目かに口が離れたあと、マカは思い付いたように俺の枕に手を伸ばした。迷うことなく下に手を突っ込んで、中から何か取り出す。いや、言い訳も何もしないが、コンドームであるわけだが。
「……何でお前が俺の部屋のゴムの位置知ってんの……?」
「たまにー、部屋を掃除するんですねー」
「……もう結構です……よく分かった……」
マカはにや、と笑う。この調子ならあることないこと全部知られていそうである。
俺はほっとする。笑顔を見て笑顔になれたことにほっとする。まだ、まだ大丈夫、俺達はまだとどまっていられる。
マカはゴムを持って一回起き上がったが、すぐにまた沈んだ。さっきまくったシャツの下、俺の肌に額を乗せる。
「すっげードキドキいってるよ」
「当たり前じゃん」
「チュウだけでこんなんなっちゃう?」
「なるなる」
マカはふーんと頷き、指先で胸の傷をなぞった。何だかこそばゆくて体が痙攣する。マカは二、三度指を往復させたあと、そこに舌を這わせた。抜糸の痕を辿っていく。
「私この傷好き」
「何で?」
「潔いから。最初は怖かったけどね、あとムカついたけど」
「ムカつくとか酷くねえ?」
「だって勝手に飛び出すんだもん、馬鹿だよ」
マカの舌が這う度に俺は声を出しそうになってしまう。けれどマカだってほとんど何も言わなかったのに、俺だけ感じてるってどうなんだろう。お人形プレイ再びである。マカの気持ちが何となく分かる。あれだ、負けたような気がして悔しいのだ。
マカは傷の終わりまで辿り着いたところで、ゴムを取り出して、勃ち上がっている俺自身にかぶせた。あ、と声を上げると、自分がはいているズボンに手をかける。
「……脱がせたげよっか?」
「変態、セクハラ」
「手震えてるし」
「気のせいだし」
マカは渋るが、俺は気にせずに少し体を起こした。相変わらず腰が細い。体を抱えるようにして少しずつズボンと下着を脱がせていく。マカの息が荒い。手だけじゃなくて全身が震えている。尻に手を伸ばすと、大袈裟に体が跳ねた。
「暴れんなよ」
「変なとこ触んなよ!」
「変じゃないじゃん」
「変だよ!」
マカは俺の肩にしがみついて睨んでいる。このままだとまた話がずれそうなので、俺はもう一回寝転ぶ。
「マカ」
「…………」
「大丈夫?」
「…………少し緊張してる」
「やけに正直じゃん」
「だって……だって、他とはやらないもん」
そうなの?そんなこと今初めて聞いた。俺は目を丸くする。マカはやわやわと起き上がり、自分の入り口に俺のをあてがう。妙に緊張している。こちらまで移りそうである。どうしよう、やめとく?とか、そんなことを言う前に、マカは一気に腰を下ろした。
二人揃って声にならない悲鳴が上がる。この辺り、さすがパートナーかなと思う。感じ方が似ている。俺に至っては入れた瞬間果てそうになった。マカは歯を食いしばっている。
「あふっ、やんっ、やだっ、ひゃうっ」
と思ったら急に声が出た。普段とは全く違う声だ。こう、何というか、実に腰に来る。背徳感さえ覚える。壊してはいけないものを叩き割っているような感じがする。マカにこんな声を出させるなんて、俺は何て馬鹿なんだろう、阿呆なんだろう、最悪なんだろう。でもやめられないのはどうしてなんだろう。全身が泡立つくらい興奮する。
「ま、マカ、マカ」
「やだっ、やめて呼ばないで!黙ってて!声出さないで!」
「え、へ?」
「名前呼ぶのは駄目!こえっ、声も駄目!」
マカは息を荒げて顔を赤らめて声を出して俺の上で乱れている、癖に、俺は大人しく黙っていなきゃいけないらしい。えええ、そんな酷いことがあるかよ、と思いつつ、俺は必死に口を押さえた。何だかいつぞやのことを思い出すが、手で口を覆って我慢の練習をしたことがある。
「あふっ、あん、やだっ、いやだっ、うえええん、いやだあっ」
「…………っ」
ついに泣き始めた。どうして泣くんだろう。これはどういう意味の涙なんだろう。苛立ちなのか、悲しみなのか、それとも衝動なのか。俺は泣きたくない。だからさっぱり分からない。胸の上に置かれた手はブルブルと震えている。腰が動く。これはいつまで続くんだろう、本当に始めてよかったんだろうか、終わらせてしまってよいのだろうか?
「やんっ、うえええ、やだっ、ソウル、嫌だ、ソウル、ソウル」
どうして、俺の名前だけ呼ぶんだろう。
こういうのも「魂の波長が合っている」というんだろうか。俺とマカが果てるタイミングはほぼ同時だった。俺は最後まで黙ったまま(あとで見たら唇から血が出ていたが)、マカはずっと俺の名前を呼んでいた。
起き上がるのも鬱陶しくて、後始末は酷くのんびりした時間になる。ゴムを捨て、服を一応着たところで、ベッドの上でぼうっとしていたマカが呟いた。一回じゃ聞き取れなくて、もう一度促す。
「なに?」
「だっこ」
簡潔な答え。ああ、と俺は頷いて、最初の時みたいに腕を広げる。今度はマカは後ろ向きじゃなくて、正面に向かって座った。鎖骨の辺りに額を付ける。
沈黙。呼吸の音だけ聞こえる。俺は声を出していいものか迷うが、聞いてみたいことなので躊躇わない。
「マカ、は、他の奴とはしないの?」
「……それを今聞く?」
「今しか聞けねえもん」
マカはちょっと黙って、額をぐっと押し付けた。
「しない」
「何で、って聞いていい?」
「気持ち悪いから」
「俺は気持ち悪くないの?」
「うん、そんなに、あまり、そこまでは」
「パートナーだから?」
「うー……分かんない。よく分かんない。でもソウル以外とはしたくない、かもしれない」
「それは今だけかなあ」
「そうかもしれないし違うかも」
マカはゆるゆる首を振り続けた。優等生のマカにしては、分からないと言うことが多い。まあ俺だって、どうしてマカなのかと聞かれたら答えられない。友達だから、は答えになっていないし、付き合っているわけじゃない。好きだけど、そういう好きじゃないような気がする。結局は分からないに収束してしまう。
マカは頭を動かして、耳を胸に付けるような格好をする。
「腰が痛いよう、明日のご飯はソウル作ってね」
「うん」
「明日って課外授業の登録日でしょ、めぼしいものあった?」
「うーん」
「ちゃんと見てよね」
「マカ」
「なに?」
「俺がお前のこと好きになったら困る?」
「それは……困るよ」
「困るか」
「めっちゃ困る」
「そっか」
マカは返事のつもりなのか、腕を回して強く背中を抱いた。マカの腕力はいやに強い。腹の辺りが締め付けられる気がして、俺は唸った。
2008:12:10